丸幸亭老人のシナにつける薬

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help リーダーに追加 RSS 馬桶の見る夢(夢想千一夜47)

<<   作成日時 : 2007/10/24 22:57   >>

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北京に胡同があるように、上海には弄堂(Long Tang)とよばれる庶民の暮す路地がある。その路地には、一階にブロックを積み上げ二階は木造で建てた上海式の庶民住宅が、そのころはどこでも見られたものだ。以下をご覧いただきたい。



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典型的な弄堂の眺め、「下只角」(オ・ザ・ゴッ)とよばれる下町に多い。


こちらは、「上只角」(ザン・ザ・ゴッ)とよばれる外国人居住区だった租界に見られる弄堂。
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租界だけに欧州風の雰囲気があり、その風情はナポリの貧民街・スパーニッシュ・クオーターに酷似している。

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しかしどちらにせよ問題は屋内にトイレがないことである。そこで馬桶(マー・トン)とよばれる屎尿桶が必需品となる。馬に与えるカイバをいれる桶に酷似するためそう呼ばれる。しかしカイバ桶より少し小さい。

便座も同様に馬桶と呼ばれるが、屎尿桶としての馬桶からの転用であろう。


日中は公共のトイレに行けばいいのだが、夜間はそうもいかない。家のすぐ近くにないことが多いし、夜に灯りが点かないトイレが多いからである。またそんなところに電灯が施設されたらすぐに誰かに持ち去られるであろう、という事情も考慮したものと思われる。

いちど知人の結婚式によばれ帰りが遅くなった。その地域はかっての紡績工場が集中していた蘇州河べりの、上海でもとくに生活環境・衛生状態が最悪といわれた地区であった。


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破れて修理もされない街路脇の壁


電力不足で屋内屋外とも真っ暗で、トイレももちろん電灯はない。知人がマッチを摺ってあたりを照らしてくれたのを頼りに用をたした。その内部の様子のおぞましさゆえ、もう二度とそこへは足を踏み入れたいとは思わない。

そんな庶民の居住区は大学のあたり一帯にも広がっていた。朝方そんな地域を自転車で通っていると、バッと水が道路に撒かれる事がある。

上海人から、「気をつけろ」と前々からいわれていたのでいつも道路の真ん中を走っているので被害はないが、それは例の馬桶を洗った水を道路にぶちまけているのである。

馬桶の中身の回収は、「馬桶車」という以下のような大八車に四角い箱を載せたようなもので路地をまわって行うのである。


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馬桶車。回収したものは農家に転売するという


回収労働者がザッと中身を回収車の中へぶちまけた馬桶は竹製のブラシで洗う。だいたいはおばさんたちの日課である。


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嬉々として馬桶掃除にはげむオバサン


そしてしばらくは軒下に伏せたり塀や垣があればそこへ引っ掛けて乾かすのである。回収車の通ったあとの路地はその馬桶がならび壮観な眺めであった。
壮烈といってもいいかもしれない。しかし今となってはそれらの光景が懐かしい。

バンドの欧州人が建てさせたビル群も、80年代までは畑とせいぜい倉庫群があっただけの黄浦江向こう側の浦東地区も、ともに表向きのケバイ化粧をほどこした上海の外面である。


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馬桶のならぶ弄堂こそが、わたしの知る上海の腹である。(下腹部はしらない。一部誤解を招く表現と思われるので特に記す。しかし下腹部に近い部分であることは否定できない。(苦笑))


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外で髪を洗う女


この馬桶にも世話になったことがある。これも内緒で知人の家に泊まった時の事である。といっても彼はもちろん女性ではない。これも誤解をあくまでしたい人が多い事を考え特に記す。

さて部屋の隅に慎ましく、しかも堂々と自己を主張して鎮座している馬桶は、イザという時の強い味方である、と思うとなぜか愛おしささえ感じるほどであった。

さて夜中、ついに催した。夕飯にこれは問題を引き起こすに違いないと思いつつ遠慮しながら飲んだ、というより舐めた、生暖かく馬の小便もこうかと思われる「上海ビール」がその効力を発揮し始めたのである。

部屋の隅へ行き、床を(なるべく)汚さないよう心がけながらいたした。

朝起きてみると馬桶は姿を消していた。なんと健気な桶さんであろうか。

もしやあれは夢ではないかと硬いベッドの布団をめくってみたが、はたして、いや濡れてはいなかった。ほっと、文字通り胸をなでおろしたものであった。

そんな上海での生活のあれこれを思い出さしてくれるのが馬桶である。すなわち上海市民生活の象徴といってよかろう。

いまも活躍していてくれることであろう。嗚呼、上海、馬桶の故郷よ・・・


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東方明珠搭からバンド方面を望む



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イザに連載したこれまでの「夢想千一夜」シリーズは以下でご高覧を。
http://marco-germany.iza.ne.jp/blog/folder/22367/
はじめの数回をこちらに転載したものの評判が芳しくないようなので今後の転載は中止します。今回はただの気晴らしと思ってください。実は写真のアップ・ロードが他のブログでは制限があり、そこでこちらへのアップとなりました。

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
上海の遠景は近代のそれですが、路地裏にはしぶとくシナの伝統が息づいているのですね。
ftkst
2007/10/25 00:57
お師匠、
昔は欧米人の上海とシナ人の上海がありました。我々が上海をイメージする時に浮かんでくるのは、欧米人の上海なのです。つまり洋風建築に、ジャズ、冒険者の楽園など、です。
その裏には、あるいは内には、シナ人の上海があったわけです。

90年代に、中共は欧米にかわって欧米風の高層建築を建ち並べて、また上辺を糊塗することにしたのでしょう。これをケバイ厚化粧と述べてみました。中身は変りません。というよりさらに腐敗が増加し、腐ったハラワタが脱腸している所もあるようです。今回はあくまで汚い表現と内容でした、ジャンジャン。
マルコおいちゃん
2007/10/25 01:16
休憩中です。またのちほど
にほんはにほん
2007/10/25 02:31
上海のイメージが良く分ります、いやはや。
thinking
2007/10/25 07:36
外国人観光客が通る浦東などとは全く「におい」が違うと想像します。
空気もにおいに染まっている・・・。
nihonhanihon
2007/10/25 13:52
小生はそのコーナーでは暮らせない。
山ごもりの不衛生は平気なんだが...街だとなぜかダメだ。
kinny
2007/10/25 14:24
thinkingさん、
見せられた上っ面だけを見ると上海はすごい都会に見えますけどね。
マルコおいちゃん
2007/10/25 15:28
nihonhanihonさん、
上海独特な臭いはまた稿をあらためて描写してみたいと思います。
マルコおいちゃん
2007/10/25 15:30
kinnyさん、
シナ人街の不衛生といえば、上海はそれほどひどくはありませんが、路上のテバナと痰吐きがありますね。乾燥して埃っぽい北方に多いのですが。これも馬桶の水同様気をつけないとやられます。
マルコおいちゃん
2007/10/25 15:33
あれはとっても上手だよね!
「スパーン!」
と、まっすぐ痰つぼに飛ばす。
ひそかにマネをすると、手がハナだらけ(泣)
kinny
2007/10/25 16:20
ほほう、御大も試しになった?わたしは痰吐きもままなりません。しかたなくノムタンになってしまいます、とほほ。
マルコおいちゃん
2007/10/25 17:28
体験したいけど・・・したくない。
いや、体験したくないけど・・・してみたい。
悩める、馬桶にううむ・・・。
★台湾おばば★
2007/10/27 07:20
★台湾おばば★さん、
わざわざこちらまでお越しとは恐縮です。
そうですね女性の使用については思いが及びませんでした。かなり小さいものなので、ふうむ、どんな風に使用するんだろう・・・??
マルコおいちゃん
2007/10/29 05:23
こんにちは〜
主人の友人の結婚式で上海に行ったときのことを思い出しました。
上海に住んでいる新婦の家に行って驚愕しましたもん。
まるで昭和初期か?と言うようなズタボロな建物に大勢でギュウギュウ詰めの生活・・・
日本へ来てわざわざ好きでもない男の嫁になる理由が一瞬でわかりました。
damedakorea
2007/11/02 11:19
だむエリちゃん、
なるへそねえ、でも上海の作られたイメージだけが一人歩きしているのは戦前も今も変わりありません。まあいずこの都市も多かれ少なかれそうです。しかし政治的に創出された、「経済大国」の象徴としての上海のイメージだけは何とか撃ち破ってやりたいと思います。
マルコおいちゃん
2007/11/03 05:46

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