誤解されつづける周恩来15、「八七会議」から左翼冒険主義へ

「八七会議」で急遽「八一蜂起」を追認しさらに「革命根拠地」建設をあらたな目標にすえたCCPは、周を中心に各地に根拠地を作り上げます。毛沢東の江西ソヴィエト区以外の根拠地は、周が人を派遣して建設させたのです。また周以外に軍の再建を組織する能力のある人材はいなかったのでしょう。


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しかし時はまだ「八七会議」のころに留まります。

1928年7月、CCPはモスクワで六全大会を開催します。場所柄、コミンテルン主導であることは当然でした。


周はここで軍事部長に再任されたばかりでなく組織部長兼任となり党務もとりしきることになりました。そして帰国した周は特務(スパイ)工作部門を組織します。つまり軍だけではなく、周はCCP特務工作の創始者だったのです。その権力の大きさが知れるというものです。


1928年から1931年、周が上海で党中央をとりしきった時期には特務工作が主要な任務であったかもしれません。それは反共クーデター以降の国民党のCCPに対する追及は熾烈をきわめ、さまざまな地下工作が双方により仕掛けられていたからです。


上海では国民党の手先となって青幇が大いに暗躍したことは知られています。これについては後に触れる事もあるでしょう。


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                   青幇のボス・杜月笙


その地下闘争は、中共党中央が1931年、結局はソヴィエト区に逃走するしかないほど追い詰められるまで続きました。


この時期は、いわゆる「左翼盲動主義」、「左翼冒険主義」の時期でした。その路線を代表するのは李立三、瞿秋白などですが、実権は周が掌握していたこと、このシリーズの最初で述べたとおりです。


1930年、周はモスクワに召喚され直接スターリンにも会いソ連共産党の16回大会でも演説を許されるなど格別の厚遇をうけたようです。それゆえいわゆる「左翼冒険主義」はコミンテルンの政策であったことが知れるというものです。


また実はその厚遇には裏がありました。コミンテルンはすでに後に「二十八人のボルシェビキ」と呼ばれることになる子飼いの駒を用意しており、周にその後見を託したかったのです。


王明(陳紹禹)を頭とするソ連留学生たち、コミンテルンの意を受けて策動する「秀才」(書生を軽侮した呼び方)たちをCCP史ではその人数から「二十八人のボルシェビキ」と呼びます。


その後の中共史に重要な役を演じるそのメンバーには、秦邦憲(博古)、張聞天がいます。さらには、「延安整風」で仲間を裏切り「文革」でその悪辣さを大いに発揮した康生や、「文革」後に完全復活した鄧小平を助けみずからは国家主席にまでになった楊尚昆もそのメンバーでした。


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1936年延安にて、左から張聞天、康生、周恩來、凱豐、王明、毛澤東、任弼時、張國燾

かれらは「延安整風」とコミンテルン解散により完全消滅させられるまで「国際派」としてCCP三十年代権力闘争の主要な役割を演じます。


元祖「国際派」である周恩来が新「国際派」の陰になり表になり毛沢東と権力闘争を演じたのが三十年代のCCPであると言い換えてもいいでしょう。


その「国際派」と毛との権力闘争の大きな転回点となったのが遵義会議でした。


それを語るにはもう一人の大事な立役者を忘れてはいけません。

オットー・ブラウン(Otto Braun)です。彼はいわゆる「長征」に参加した唯一の外国人として有名ですが、このドイツ人はコミンテルンから軍事顧問としてシナに派遣されました。



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     不気味に笑うブラウン、しかし眼が無邪気そうに見えるのは気のせいか?



しかし顧問とはいえその実はCCPの軍事を取り仕切ることが彼の任務でした。


彼がオーストリアの偽造パスポートをもって上海に到着したのは1932年の秋でした。(彼の回顧録『大長征の内幕』瀬戸鞏吉訳、恒文社、1977年による。以後、彼の言動はほぼこの書物に拠る)


その時はもう党中央はソヴィエト区に移動しており、彼を迎えたのは秦邦憲(博古)と張聞天でした。彼らはロシア語を不自由なくあやつり大変助かったとブラウンは述べています。


ブラウンがシナへ潜入する以前の、この「国際派」が党を牛耳る過程と党中央が上海を離れソヴィエト区に移転する経緯についてもまず述べておきましょう。


そこにこそ周恩来の行動原型と、また周と毛沢東の確執の原型もともによく表現されているからです。





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