シナはまず分裂せよ

前回は、いわずもがなの事まで述べた。シナとヨーロッパという文明理念の差異についてである。しかしそうでもしないと、「東アジア共同体」などという荒唐無稽な怪論が絶えないからである。その怪論は、おそらくEU(欧州同盟)を念頭においたものであろうが、欧州各国が文明の理念を共有するということを故意にか無視して、あるいは味噌クソにして、シナと日本という二つのことなる文明をひとつの共同体に統合しようとするものだ。

もし「東アジア共同体」なるものが可能であるとするなら、それは現在の「中華人民共和国」が数ヶ国に解体して、そしてその上で(まあ数百年も切磋琢磨すれば良いか?)共同体を形成する場合であろう。その際、「シナ連邦」なり「東アジア共同体」なりどんな名をとなえようとかってである。しかしそこへの参加は、日本はもちろんかたく断る。

以下、それについて述べよう。


ヨーロッパにおいては、パクス・ロマーナという名の平和がローマ帝国衰退によりやぶれ、戦争と混乱の歴史をへて、言語と民族にもとづく国民国家を形成することでさらなる対立と破壊を導いてしまった。

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                 反戦ポスター(John Hearthfields)


その反省から、共通の文明構造にもとづく国家連合による平和を夢想し実現しつつある。これは切磋琢磨した各民族国家群が、その手にした繁栄と充実した生活を保守して、さらなるよりよき世界と社会を建設しようという理念と理解しておこう。


しかしシナにおける歴史とは、魯迅のいわゆる「奴隷史観」が正確に述べているように、帝国の統一による奴隷が安心して奴隷でいられる「天下泰平」と、帝国分裂による奴隷が安心しては奴隷でいられない「天下大乱」の時代が繰り返されただけで、ついに言語と民族にもとづく国民国家を形成することができなかった。

つまり帝国の安定か分裂した混乱か、という二者択一しか選択肢がなかったのである。そして今現在もそのとおりなのだ。そこで中共指導者も必死で統一を維持しようとしているのだ。

その視角からみると、「台湾問題」というものが実はシナ問題であることの事実がよりはっきりとする。

シナ語系統各言語の音韻を消滅させ、各言語の差異を覆いかくす漢字表記のゆえに、漢字を用いる知識人、文人官僚たちのあいだでシナという共同幻想が保持されてきた。それは岡田英弘氏が指摘するように外人異族に支配され奴隷となってきた人々の「負け惜しみの歴史観」によるものだ。

しかし人民はといえば、分裂による混乱のために安心して奴隷でいられない生活よりも、統一による奴隷の平和を求め続けてきたからである。たとえ奴隷主が異民族であっても同様であった。


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生存権こそがシナにおける人権である、とは中共指導者自身のことばである。生存権しかゆるされないシナ人民が、シナという夢を見て統一を憧れる、ということはない。

大地に縛り付けられて奴隷の平和だけを追求する民、このような民を、われわれは国民とは呼ばない。だからシナには人民しか存在しない。国民のいない国家、われわれはそれを国家とは呼ばない。

そのような皇帝と奴隷しかいない古代式国家が、シナ亜大陸に王朝の興亡をくりかえそうと、それは彼らの問題である。しかし、いまやこの古代国家が、経済グローバル化を悪用し外資を騙し取り吸収して強大なリヴァイアサンとなり、周辺国家群のみならず世界へその毒を吐き散らす事態となった。

ゆえに、われわれも黙ってみすごすことはできないのである。

ここで、前回にのべたことを、今度は括弧をとりはらって以下にくりかえそう。

国家が言語と一致するという危険思想を、ひたすら政治的に抑圧し維持されている国家あっての言語が普通語というシナ語ではないか。

そして今あるその国家とは、いまだに古代農奴制国家であるという胡乱な事態は、笑うに笑えぬブラック・ヒューモアである。この危険きわまりない時代錯誤の古代国家は、心あるシナ人諸君とともに消滅させねばならない。

その道は、安定した帝国か混乱した分裂かではなく、分裂した共通言語グループによるいくつかの民族国家の建設による切磋琢磨と、それなりに安定した平和共存であろう。そしてその上で国家連合を望むなら、それもよい。つまるところ欧州がたどった道の総復習をせよ、ということである。

とくに民主化をめざすシナ諸君には再度熟考していただきたい。民主主義とは小国寡民にこそふさわしいものであり、大統一シナとは完全に矛盾するものであることを。そして、シナが「大中華」の悪夢を見つづけるかぎり、絶対に民主化は不可能であるということを。

道は曲がりくねっているが前途は明るい」、という若きころは各省分離独立主義者だった毛沢東の言葉をシナ人有志諸君にささげて、この稿を終える。


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      「連邦制」を唱える厳家琪。趙紫陽のブレーンで元社会科学院政治研究所所長



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この記事へのコメント

にほんはにほん
2007年12月12日 03:14
本当にそのままその通りですね。読者は皆同じ意見だと思います。
nhatnhan625
2007年12月12日 03:57
同意!

「道は曲がりくねっているが前途は明るい」
まさに。苦しみとは道を見つけられない苦しみと道をあるく苦しみがあるのでしょうが、前者のほうが絶対につらいです。曲がりくねっていようと歩むべき道を見つけた人は前途は確かに明るいでしょう。
でもシナ人は、明るいとおもわないように教育されちゃってるのが痛いですね。。。
takoyan
2007年12月12日 08:55
>道は曲がりくねっているが前途は明るい
ビートルズは「the long and winding load」と歌ったが、
支那の場合は「the wrong and winding load」ですね。
umejum
2007年12月12日 13:05
しかし厄介な隣国です。 「人民」の奴隷根性を脱するのは何時の日でしょう。 何せ5千年も歴史があるし。。。 
マルコおいちゃん
2007年12月12日 16:06
にほんはにほんさん、
まあ、素直にハイというわけはありませんが、ね。しかし世界とシナ自身のためには、それが最善の道なんですが・・・
マルコおいちゃん
2007年12月12日 16:09
武閑老師、
シナの指導者は、共産党でもだれでも、いつでも農奴愚民対策が最重要案件でしょう。しかしシナ・イデオロギーは一部知識人しか共有できないのですから、強制意的に奴隷制度を維持するしかありません。ゆえに、シナであるかぎり民主化はできません。
マルコおいちゃん
2007年12月12日 16:11
takoyanさん、
おひさしぶりです、ね。
シナ>>wrong and winding load
非シナ>>long and winding load

共通項は、winding loadということです、ね。なにしろ龍をトーテムとする国柄ですから、ね。
マルコおいちゃん
2007年12月12日 16:14
umejumさん、
5千年の歴史、というのもやはり捏造でしょう、か?
シナが成立したのは秦の始皇帝の大統一ですから、2200年の歴史しかありません。それ以前は、プロ・シナというべきでしょう。勇気を持ってプロ・シナへ回帰してやり直してほしいものです、否則古代奴隷制を以って滅び行くだけなのですから。
にほんはにほん
2007年12月13日 10:35
takoyanさん・・・毎度面白いが今回は吹き出しましたぞ(爆)。
怜音
2007年12月13日 12:10
road・・・。
マルコおいちゃん
2007年12月13日 16:09
にほんはにほんさん、
本文より面白いコメントでした、ね。
マルコおいちゃん
2007年12月13日 16:11
怜音さん、
load>>導師
road>>道
ご指摘のとおりでした。
マルコおいちゃん
2007年12月13日 21:09
どうも気になって辞書をひきました。
load>>荷積み
lord>>主
でありました。


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