テーマ:夢想千一夜

フランス租界から来た朝鮮人

上海旧フランス租界を東西に横切るメイン・ストリート淮海路の南を平行して、復興路がやはり東西に通じている。その東端は南市とよばれる本来の上海城市にあるから、この通りはシナ人居住区とフランス租界を繋いでいることになる。 しかし復興路を西へ進むとやがて淮海路と交差したのち西北へ向きを変え、ついには李鴻章別邸(現・丁香公園)脇で華山路につ…
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夢想千一夜の第5夜、虚空の風

こんな夢をみた。駅前からリキショーを拾った。ゆっくりと途中の見学ができるからだ。江南の穫り入れもちかい農村は豊かに実っているようにみえる。 その田のなかをジャンクの帆がゆっくりと動いていく。ここからは見えないが、クリークが走っているのであろう。 田でせいをだす農民も、道端でタバコをふかす行商人も皆、れいのフェルト帽をか…
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夢想千一夜の第4夜、沈黙の群集

こんな夢を見た。黙りこんだ群集が路地という路地から湧き出てくるように大通りに集まり、どこかにゆるゆると動いていく。 流砂が木々を押し倒していくように、抗おうとするものも抗いようもなく、その流れに吸い込まれていく。 誰も何も言おうとしない。ただ押し黙ったまま、中には気味の悪い薄笑いを浮かべているものがいる。…
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夢想千一夜の第3夜、沈む庭園

こんな夢を見た。その女は、別れたかっての妻であった。思いもかけずその場所で出会った。庭園には春の気が満ちてはいたが、心は秋の落葉を見る思いだった。 別れたくて別れたのではなかった。 むこうもすぐに気付いて、こちらを見るやすぐにうつむいた。万感の思いを語りあかしたかったが、もうそれもかなわぬ人であった。 とも…
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夢想千一夜の第2夜、冥界の王

こんな夢を見た。昏い空と水面の間は細かい霧がたちこめている。漣がときおり湖岸を洗う。 夕暮れなのかそれとも夜明けなのか定かでもない湖畔に行き交う人もない。 ただ幾つかの人とも見えぬ者たちが湖畔を漂うともさすらうともなく佇んでいるのが見える。男か女かも定かではない。顔が一様にぼやけているためだ。 堤防により分けられた小さな湖…
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夢想千一夜の第1夜、逆流

『夢十夜』は漱石先生の作品中もっとも好きなものです。黒澤明の『夢』もそれに倣って各篇が「こんな夢を見た」ではじまります。しかし漱石先生は夢日記を書き記したわけではなく、あくまで創作であったと記しています。わたしもイザで同様に夢に仮託して「こんな夢を見た」ではじまる幾編かを書いた後、夢よりも回想、とくにシナでの回想に重点をおいて連載を継続…
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